あたしはなんだって頑張った。
テストの点が悪くて先生に呼び出されたら、ちゃんと勉強して結果を出した。
クラスメートのノリと合わなくったって、先生が担任じゃなきゃやだから、馴染めてるように笑ってた。
先生、いっつも学食だったから、早起きして先生の分のお弁当まで作った。
授業中、誰某の髪型が好きって言ったからちゃんとそれに合うように切った。


ねえ、先生。
あたし、クラスメートの間でなんて言われてるか知ってる?
「チャラい女、年上だったら誰でもいい奴」なんて、言われてるの。
でも、あたし先生が笑ってたから別になんとも思わなかったの。
先生の笑顔をみたら、嫌なことなんてすぐにどっかに飛んでっちゃうのよ。
だから、平気、なんともなかった。

たとえ、毎日靴を隠されてもショックだとは思わなかった。
だってそんなことするってことは、よっぽどあたしと先生の仲を恨めしく思ってるってことじゃない。
自慢するわけじゃないけれど、なんだか優越感に浸れてよかったと思うわ。


、電話よ。」

「あ、ありがと。…もしもし、」

夏って暑いものなのに、なんで、寒気がするのかな。
先生、あたし、風邪ひいちゃったかも。
ほら、先生が休まず補習に来いって言うからだよ。
あたし、国語は特に頑張ってたのに、なんで呼ぶかな。
嫌ってわけじゃ、ないんだけど。


飛び出してきたの車に撥ねられて


お亡くなりになったって、変な冗談やめてよね。

「告別式は…」

「先生」


あたしは十分頑張ってた。
なのに、ひどいわ。
それは、あたしにとっての裏切りです。




2008/6/16
→2008/8/9