「でな、トシが…―」
さっきからずっと、ものすごい視線を感じます。
こんな熱い視線、お妙さんからもらえるはずがない。
あ、でももしかしたら…やっと俺の気持ちを受け止めようとしてくれたのかもよ!
さあ振り返れ、そしてお妙さんを抱きしめようじゃないか!
バッ――――
「近藤さん?なんですか、いきなり」
あ、あれ?ちゃんか。
「ああ、さっきお妙さんがいた気がして…」
じゃあ一体誰が視線を…。ってちゃんかなり睨んでるゥゥ!なんで!勲わかんない!
「ちゃん、そうあまり睨まないで!勲、怖いっ」
顔に手をあててふざけながら言うと、ちゃんは一歩、また一歩と近付いて俺の目の前まで来た。
少し湿っぽい空気に圧されて冗談を忘れた。
何故か俺は喋れなくなって、ちゃんを見ていた。
「近藤さん」
呼ばれてハッとして「ん?」と返す。
ちゃんは一度深呼吸か、それとも溜息かをして力強く俺を見た。
「睨んでません、見つめてます」
(勘違いしないでくださいよ)(あ、え?)(大好きなんです)
20070909
by携帯変換TITLE
マ行ミ「見つめる」