眠いとき、目を瞑ればすぐに意識を手放してしまうが、何分か経てば目が覚める。今日もそんな感じで2、3回意識を取り戻し、また目を瞑る。何回かそれを繰り返しているうちに、俺の頭の中でいろいろと雑考が廻る。今何時頃だろう、新八起こしに来ねえのか、あー腹減った。軽く考え事をしながらまた意識を手放そうとしたその時、玄関の扉を開けて、閉める音がした。それに少し驚いて目を開ける。足音が俺の部屋に近づいてきた。新八か?そう思い、寝返りをうってぼうっと襖を見つめていると、襖が動いた。足が見えて新八ではないことに気が付いた。

ゆっくりと足元から目線を上げる。

かー。」

「何よ、新八君じゃなくて御免あそばせー。」

いつも新八が起こしに来ることを知っているのか、にいっと笑って部屋に入ってくる。右手にはコンビニで買ったと思われるおにぎりと飲み物があって、多分その中には俺の分も入っているのだろう。「これ、朝昼ご飯買ってきたから一緒に食べようよ。早く起きて。」ほら、俺の思った通り。俺の分との分。けれど、まだ起きる気分でない俺は「んあーもうちょい寝かせてよ、ちゃん。」と言った。枕元に座ったを半目で見ると「えー」と言いながらおにぎりを食べようとしているところだった。それはさせまいと、の手を引いて俺の布団へダイブさせる。

「うおっ。って、ちょっ、おにぎり落ちたって!」
手に持っていたおにぎりが落ちた、と喚くを俺の唇で黙らせる。途端に耳が赤くなったをよそに、このままもう一度意識を手放してしまおうかと考えていると、「銀さん。」とが呼びかけた。

「何?銀さんもう眠いからねー。」

「もうじゃなくて、まだでしょ!・・・もうちょっと、このままでいて。」

「え?このままがいいの?ちゃんは裸になっちゃいたいとか「思わないから。」」

最後の方はの声に止められた。ま、たまにはこういうのもいいか、と考え直し「も寝チャイナよ。」と言うと「・・・うん。」と小さく言った。

何分か経って、愛しい人の呼吸が規則正しくなったのを合図に、俺も意識を手放した。




時計の短針が1を過ぎた頃に。
(多分、俺は君を起こさないようにキスをする)





2007.08.05